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クライマックスフォレスト

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地球上のモノは全て引力を持っている。
コピー用紙も鉛筆も机も人も引力を持っている。そしてその引力はそのモノの質量と比例する。これがニュートンが発見した万有引力。思い出した?
この理論だと、いかなるモノ同士も互いに引き合うってことなので、ボールとボールもお互いに引きつけあってやがてはくっつく。但し、空気抵抗もあらゆる摩擦も小さいという条件でだけど。実際に水を含ませたスポンジを宇宙空間で握ると、水はスポンジや手にくっついたまま離れて行かないということでも証明されている。(この場合は表面張力も影響しているけれど)
我々の身の回りにあるモノで一番大きいのが足元の地球。ちなみにボールと地球の引力の差は15億倍。ここまでの差だとピンポン玉か砲丸の球かなんて瑣末すぎてどうでもよくなる。そのくらい地球が飛び抜けてデカい質量を持っていることと、空気も含めた各摩擦によって、机の上の鉛筆が消しゴムとイチャイチャしたりしないでいられる。
それでもあると思うんだ。人が大きなモノにひかれるということが。
人それぞれだろうけど、東京スカイツリーだったり重機だったりザトウクジラだったり、とかくデカいものというのはちょっと不思議な引力を持っている、そんなふうに思ったことはないかい?
10年近く前に重茂の原生林を歩くツアーに参加したんだ。そこに立つ森の巨人たちと向きあった時に感じた吸い寄せられるような感覚は今でも忘れられなくて、今もこうして思い出しちゃう。
高さ30m、周囲4mほどもあるおよそ300歳のケヤキ。目前に立つと、ついふらりとそばに行きたくなるし、手を触れてみたくなる。寄って触れたらしばらくそのままでいたいと思う。そんな経験があるから、圧倒的に大きなものにひかれることってのは、私はあると思っている。
「クライマックスフォレスト」。これはその時のツアーガイドに教えられた言葉。
自然の山が自然のままに生き続けて、やがて山の成長が終わるその時までのサイクルはおよそ800年で、その状態をクライマックスフォレストといいます。そしてこの山もそろそろクライマックスフォレストになろうとしています。そんな説明をしながらガイドが指した方向には倒れたたくさんの巨人たち。
木が成長して枝を張り、森を暗くし、地面を腐食させ、やがて樹は倒れる。
文字にすれば短いけれど、実際はこれを800年かけて一周させているという。
そういえばあのケヤキの樹だってまだ300歳か。ガイドが言った「そろそろ」は、私が考えるそろそろとは違う長さなのかも知れないな。
そしてもうひとつ。ケヤキの樹に感じた引力だってなんのことはない、地球の引力、引力のアンテナみたいなもんだったのかもしれないなと今は思う。
おかげでスカイツリーや重機の引力はどっか行っちゃったけど。

作成者: にそ丸

■東京から一番時間距離のあるまち、岩手県宮古市のとある庭から見える田舎の風景を。

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