とねりの庭

下々ノ者ノ下ノ庭


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寂しい駅

無人駅の待合室。

新里方面での仕事があったので、JR岩泉線いわてかりや駅に立ち寄った。
外の乾いた冬の風こそ這入ってこない待合室だが、気温は外と変わらない。
腰を下ろせば冷たいであろうことは容易に想像できる化粧合板のベンチに、ぼくは敢えて座ってみた。
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体の芯を叩くようなその冷たさに背中を丸めて室内を見渡した。
かつて有人駅だったことをうかがわせる窓口には大きな板が打ち付けられている。
どこかに人のぬくもりがありはしないかと探してみたが、部屋の対角にそれぞれ離れ離れにされたモップと箒が寂しさを増幅させただけだった。

運休したままのJR岩泉線。きっとこのまま廃線になり、いずれはなくなるであろう駅舎。
のべ何人の人たちがここに座り、ここを去っていったのだろう。
そんなありがちな空想をしながら、擦れて丸くなったベンチの角をなでてみると、合板の座面よりもやわらかで、少しだけあたたかい気がした。
白い息が高くもない天井に昇っていった。

ニソップ物語11
「寂しい駅」

現在この駅舎は、列車の代行として走っているバスの待合所として使われている。
TOPバナーの座面がビリジアンカラーのベンチは同じ駅の外、駅舎の線路側にあるのだが、線路が使われなくなった今、座る人はほとんどいないだろう。
今度は雑巾持参で座りに来ようと思った。