とねりの庭

下々ノ者ノ下ノ庭


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(2)今日のパンツ

「にそ丸さん久しぶりなので、血液検査とー、おしっこも採りましょうかね」

ご一緒にポテトはいかがですか?を断ることは簡単だが、このおすすめメニューに、あーいや結構です、と返す度胸は持ち合わせておらず、結局欲しくもないサイドメニューをも紙袋に入れられることとなった。

折しもサイドメニューという単語が出たので、この辺でこちらもサイドメニュー的余談をひとつ。この辺でという割にド冒頭で恐縮ですが。さらに確信犯で恐縮ですが。というかいつだって余談みたいな本編で恐縮ですが。
この病院の診療時間は午後五時までで、私はいつも四時に診察券を出すことにしている。
「こういう自分ルールというか決めごと好きだよねーにそ丸って」と以前友人から言われたのを思い出さずにはいられないのだが、全くその通りである。
なぜ四時に診察券を出すか。それは、三時に行っても四時に行っても終わる時間はほとんど変わらないからだ。これこそ病院の七不思議の一つだと思うのだが、どうだろうか。
この日は仕事も一段落していたし、昼過ぎからやたらと眠かったので、三時に病院へ行ったのだった。病院の待合室で小一時間居眠りしようという算段である。
ところがそんなヤラしい画策をした日に限ってすいていたりするのが世の習いらしく、この日は到着から二十分ほどで名前を呼ばれてしまった。
新橋のサラリーマンが憧れてしかたがないという勤務時間中居眠り計画は儚くも泡と消えてしまい、本来なら喜ぶべき快速診察に対しても、なんだかツイてないとしか思えなかったのである。マイナス思考も得意なにそ丸ですこんにちは。

本題に戻ろう。
夢にも思っていなかった血液検査と検尿の刑を言い渡され、さらには居眠り計画も反故にされてしまい、きっと私の眉間には縦皺が鎮座していたのだろう。医師は声のトーンを上げ、早口でこう続けた。

「薬がね、どんな風に内臓に影響を与えているかね、見といたほうがいいので。血液とおしっこを調べればそれが判りますから。すぐねー、だいたい三十分で結果が出ますから」

あーあーやっぱり来るなら四時以降、なんならもっと遅くてもいいな。終了時間間近なら、検査だなんて言わないだろうし。つーか、こりゃアレか?今日は空いてたし、売り上げ目標達成してないってことか?検査すりゃそれが売り上げだもんな。結果なにも出なくたって売り上げUPですもんねー。
持ち前のマイナス思考が生み出す甘美なボヤキを飲み込みながら、どこか言い訳のような説明的説明を聞き流した。

翼状針の先端が右腕の静脈へ消えてゆくのをスローモーションで眺めながら思う。どうして真空採血管が装着されていなくてもぴゅーと血が吹き出したりしないのだろう。それにしても便利だよなぁ。そういや持ち合わせ足んねぇかもなぁ。ああ眠い。

検尿コップを受け取りトイレに入る。思えばこの病院でトイレに入るのは初診以来だ。
ウォーターサーバーになった気持ちで生ぬるい小便を紙コップに注ぎ入れ、採尿之儀終了。
持道具撤収のため、コップは一旦顔の高さの棚に置く。倒したらどうなっちゃうだろうという好奇心を抑えながら視線を右に移すと、ショップカードが目に入った。よく見たらそれはED相談カードだったが。
小窓を開けてコップを仕舞う。コーヒーショップの店頭で試飲を配る店員の気持ちで優しく置いた。これ以上ないというほどの無表情で。

これでようやく居眠りができる。患者もまばらなそこそこ広い待合室の中から、前後左右に人が少ない長椅子を選んで腰を下ろした。
ほどなく自分の名を呼ぶ声で目が覚めた。二十分ほどもうつらうつらしていたことに驚きつつ、診察室へ向かった。

「にそ丸さん、大丈夫?」
よほど寝ぼけた顔をしていたのだろう。医師は私の顔を見るなりそう言った。続けて、
「どこもおかしいところはありませんね。じゃいつも通りふた月分薬出しときますから」
そう言われるものとばかり思っていたのだが、実際は違った。
「大丈夫? なんともないの? ちょーっとねー、数値がねー、これ、ここ。標準値は35までなんだけどね、にそ丸さんは──」
ひと目で安インクジェットプリンタで印刷されたとわかる紙の一部を指さしながら医師が長々と、いや丁寧に説明を始めた。

「じゃ、CTとるから」
でました「あーいや結構です」が使えないタイプのが。
むー。チーズバーガー一個のつもりだったのに、気がつきゃサイドメニューのほうが多くなってた、そんな感じか。いや、ファストフード店と思って入ったらリッツカールトンだったって感じかしら。ウマい喩えが出てくる気配は全くないが、どっちにしても医師の指の先にある「1720」という赤い数字が金額を表しているのではないということだけは分かった。

「だいたい三十分で結果が出ますから」
この日二度目のセリフを背中で聞きながら看護師の後を追った。
あー帰社するの確実に遅くなるなぁ、連絡入れなきゃなぁ。そんなことを考えながら、今日はどんなパンツだったか思い出しつつCT室へ入った。

(3)へ続く
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予断を許さないとかではないので、余談も許してねテヘペロ


6件のコメント

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(1)一年分の三分

丈夫な身体を与えてくれた両親には、感謝の言葉しかない。
こと内臓は素晴らしく丈夫だ。少々傷んだものを食べてもまず下さない。飲み過ぎた翌日にちょいとゆるくなる程度で、便秘など5年に一度あるかないかだ。
人並みに胃が荒れたりはするけれど、ピータン以外の好き嫌いもなく、体の細さの割には結構な量も食べられ、酒も飲めるというのは幸せの一言に尽きる。
年に一度の健康診断が出してくる数値も、まさに健康そのものであるから、慢性じんましんとユルいオつむと腰痛持ちではあるけれど、そんなものは許せてしまう。

この「慢性じんましん」というのは治療のしようがないので、基本的にはじんましんが出ないように、飲み薬で抑えておくのが一般的。というのは前にも書いたか。薬の服用を始めて平均八年で治るとかなんとか。
私の場合、忘れずにアレグラを飲みさえすれば一切じんましんは出ないので、時々治ったんじゃないかと思ったりもする。実際、もしかしたら治ってんじゃねーの? と服用しないでみると、翌日あたりにきちんと出てくるのがちょっと悔しくもあり、かわいくもあり。

さて先日も慢性じんましんの薬「アレグラ」をもらいに、かかりつけ医を訪れた。
いつだって一時間待って診察一分。

「はい、にそ丸さん、その後どうですか」
「変わりませんね。飲まなければ出ますし、飲んでいれば出ません」
「じゃいつも通りふた月分の薬出しときますから」
「ありがとうございました」
「はい、お大事に」
以上、一分で終了。

しかも、一日二回飲む量を処方されているが、私は一日に一度しか飲まなくても充分効いているので、二ヶ月分の薬は倍の四ヶ月もつ。
これはなんとなく、一年合計三分の会話で、このじんましんを飼い慣らしているといえそうだが、病院に飼われているような気がするのもまた確かだ。

そんなわけで、この日も四ヶ月分のアレグラを処方してもらうべく、いつも通りの問診を受けることになるのだが、この問診が一分で終わることはなかったのだった。

(2)へ続く
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思いつきで不定期連載始めました。


10件のコメント

取り越しがっかり。

先日投稿した沼で始まったこととは、静電気でした。
もったいつけるようなことではないし、引っ張るつもりもなかったんだけど、流れの関係でこんな形になりました。

やー、これっぽっちも望まないシーズン到来かー。心底嫌だなあ。
夏の蚊と秋の静電気は、ぼくの中で別格の第一級忌嫌物。
まぁ真冬の寒さはそれをも超えるのだけれどね。

と、始まった静電気シーズンにがっかりしたんだけど、翌日からずーっとジメジメ天気でして、あの日以降ビリバチしていません。
ということで、今季の静電気本格運用は、まだ始まっていないということにします。
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ぱっと見で、カーブとかぶのダジャレかと思ったんだが、どう見ても大根です。本当にありがとうございました。


14件のコメント

それを個性とはいわない。

大きなお世話だろうし、ここでぼやいてもなんにもならないが私は言いたい。
もうやめようぜ、キラキラネーム。
とはいえ使いたい親がいるのは事実。
ならばせめて、読めるものにしないか。
“空詩”と書いて”らら”。
こりゃ読めない。
読めない名前は、少なからず一般的な読みの名前よりも、苦労するだろう。子どもが。

せめて読めるものを、と譲歩してみたが、
読めたとしてもこりゃダメだろうというのもある。
“裸夢”と書いて”らむ”。
なにも隠し事のないーとか、飾らないーとか、そんな意味を持たせたかったのかもしれないが、どうしてもその字じゃなきゃだめか?
この子が大きくなって、自分の名前を他人に説明する時はどうだ。
「らむの”ら”は”はだか”でー」と言わなきゃないだろう。

どこまでがよくて、どこからが痛いかの線なんてない。
親の感覚が全て。
個人の自由は尊重されて当然。
それぞれが愛情を持って、真剣に悩んで考え抜いて付けた名前だろう。
だがしかし。
である。

なお、日本の裁判所は、命名に関して次のような見解を示している。
親権者がほしいままに個人的な好みを入れて 恣意的に命名するのは不当で、 子供が成長して誇りに思える名をつけるべき。

本当に大きなお世話だし、無意味なぼやきだが、どうしても言いたかった。
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そんなのを考えている友人がいたら、全力で阻止してやる。


14件のコメント

沼でお願いします。

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釜石市と遠野市にまたがる「仙人峠」という峠の途中にある沼に立ち寄った。
何度か来てはいるけれど、いまだになんて場所なのか知らない。
もしも仙人沼とか地元の人が呼んでいる名前があるなら知りたいもんだ。

といいつつグーグル先生に訊いたところ、「早瀬川足ヶ瀬砂防堰堤」というらしい。
通称「足ヶ瀬砂防ダム」と。さすが先生だ。

行ったのは先週。そこそこの標高なはずだけど、紅葉はまだ先だな。
この台風27号が過ぎたあたりには紅葉になっているかな。
青空を背負った紅い山が映る水面も観てみたいと思うけど、きっと行けないだろな。
そんな口惜しさのせいもあるのか、気がつきゃグリグリ加工のオンパレード。たまにゃいいかと垂れ流してみる。
けっこうな枚数且つ自己満足(いつもだが)の極みなので、閲覧疲れにご注意下さい。

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これだけ見ると沼だよな。でも砂防ダム。
そういえば「ダム湖」とはいうけれど「ダム沼」は聞いたことがないな。
でも沼と呼んでしまおうそうしよう。

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立ち枯れした木々がこの沼の特徴。
一番上の一枚目の写真は、ほぼ無風の中で撮ったもの。
風が水面を揺らすとこんな感じになります。

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水辺なのに荒涼としているのが不自然な印象をくれる。でも自然。

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なんて木なんだろ。そしていつから立っているんだろかね。

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春です。
ウソです。
そう言っちゃえばそう見える気がする。

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なんもいじらなくても成立する風景を、わざわざグリグリにいじる快感。

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足を付けられた蛇は迷惑極まりないだろうけど、たまには遊びたくなるんだよ。許せ。

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緊張と緩和だ!

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スクラップ・アンド・ビルドだ!!

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加工に負けじと、蛇足る言葉。

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実はこわごわとした気持ちで写真を撮っていました。

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霊だのおばけだのに対しては、見たい会いたいと思うことこそあれ、恐怖という感覚はない私ですが、ここは恐ろしかったのです。

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それは、この場所のせい。
雰囲気とかそういうことではなく、なにかあったら助からないだろうという恐怖。
長靴のスネまではまるグッポグポのドロ沼であるということと、人気の無さがそうさせる野生動物活動し放題感のせい。

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冬場は難所といわれる仙人峠ですが、二つの市をを結ぶ道路であり、それなりな交通量はありました、10年前までは。

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しかし2002年頃に超快適なトンネルが開通しまして、この沼の付近の道は旧道となりました。

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この沼はその旧道の脇に位置しておりまして、人はおろか自動車の行き来もまばらな場所と相成りました。
そんなわけで、グッポグポの泥沼にグッポリはまって動けなくなっても、野生動物に蹂躙されようとも、独り。
この写真の足跡は全て野生動物のそれです。

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ちなみにですが、わたくしのDoCoMoガラケーは、眩しいほどに圏外を表示していたことを付け加えます。

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動物の知識は皆無な私ではありますが、動物園でもテレビからも聞いたことのない鳴き声やら咆哮やらがひっきりなしにディレイしていたこともまた付け加えるしだいです。

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そんなわけですが、こうしてのうのうとブログの更新ができておりますので、生還したことは間違いありませんので悪しからず。

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話は変わりますが、この写真を撮った日に始まったことがあります。

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それはなんでしょう。

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とか、いきなりクイズ形式されるとイラっとくるのは私だけでしょうか。

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単純に年齢をたずねただけなのに、いくつに見える~?と、手垢でカッピカピになった質問返しなどもってのほかです。
訊ねた出身地に、どこだと思う~?というヤツなんかは、急いでいる時に限って信号がみんな赤の刑です。

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で、なんだっけ。
あ! 鳥さんだ!! って、望遠ねーよ!

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これはー、ダム施設の反対側だなグリグリ。

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たまに撮りたくなるよねー、こんな写真て。
撮ったところで、なんにもならないと相場は決まってるんだけどさー。

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そろそろおしっこ出さないと漏れそうなので、このへんで終わりましょう。
長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。
あーおしっこおしっこ。

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本日のまとめ
・小絞りボケに気をつける
・レンズやセンサーなどはきれいにしておく
・カメラ内水準器を信じない