とねりの庭

下々ノ者ノ下ノ庭


14件のコメント

グロウマ。

物流が発達して、海洋深層水氷も登場した現在は、北日本以外でも味わえるのかもしれない。
それでもその多くは料理屋での食事であり、丸のまま買って帰って、家で調理するというのは稀なのではないかと思う。

昔は外道とされていたこの魚を、当地方では「ドンコ」と呼ぶ。一般的には「エゾイソアイナメ」。
北日本ではそれなりにメジャー。特に海釣り愛好家にはよく知られているのではないだろうか。
冬が旬なドンコを、今日は肝和えのたたきでいただく。
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このとおり、一次選考の書類審査でOUTげな見た目。だがそれがいい。

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まずは、このぬめぬめと、細かい鱗を取りますよ。
カレイ含めこのテの魚は、鱗取りや包丁なんかよりもステンレスたわしが楽。早いし、なにより鱗が飛び散りにくいからね。

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鱗を取られてどこか寒そうなところも冬の味覚らしくてヨシ。

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ドンコは身よりも、この肝に価値があります。を死霊のはらわたごっこしながら身をもって説明する健気なドンコ。
鮮度が落ちると、腸など内臓の臭みがこの肝に移ってマズくなる。そのため「さっきまで生きていた」レベルが望ましいのです。

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肝はなるべく傷つけずに取り出したい。せっかくなので下手な例を演じてみた。大切なことなのでもう一度いいます。下手を演じてみました。演 じ ま し た 。
ふう。
さて、この肝臓よりも傷つけちゃダメなのは、心臓と苦玉。心臓を派手に切ると、肝臓が血だらけになります。苦玉ってのは胆汁が入った袋のことで、たいがい緑っぽい色をしていて、この色が食べる部分に着くと簡単には取れません。ブリや鯛だと破きがちだから気をつけろ!

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三枚おろしにしたら、腹骨を取り除き、皮を引きます。
タラと似てますね。この見た目どおり、味や食感もタラに近いですが、タラよりも臭みが少なく、しっかりしていると思います。
この半身の中心線(赤茶のライン)に並ぶ小骨を取り除くと、腹身と背身に分かれます。
そしてドンコの場合は、背身がさらに分かれたがります。写真でいうなら、黄土色と白を境目として、筋繊維の向きが変わっているところ。
こんな風に分かれる構造って、ちょいと珍しいです。

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ということで、腹身と背身A背身B(適当命名)となりました。
昨日の記事は、これのうちの、背身Bこと背びれ側の背身でした。
奥は味噌よ。

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すっかりと骨が無くなった身を、たたきやすいようブツ切りに。
今回足すのはネギと味噌のみ。酒や根生姜を入れる人もいるみたいね。

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よきところで肝臓投入。
子どもが見たら泣くレベル。泣かないまでも食べるのを拒否されることうけあい。
ベロンと投入しないで、先に刻むとか裏ごしするとかしたらどうなんだろ。裏ごし器無いけども。
まぁあとはボーっとしながらひたすらたたくだけだからキニシナイ。

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「ドンコの肝たたき」完成。
酒の肴に最高なんだろうけど、酒飲めないしなぁ。とボヤきながら肝臓を食うのはチトさみしいが、悶絶の旨さなので許しちゃう。
味的に一番近いのは、中トロで作ったネギトロ。マグロよりも酸味と鉄臭が少ない分マイルド。
さらに言うなら、あん肝よりもあっさりして食べやすい……というのは負け惜しみ。やっぱりあん肝には敵わないよ。けどコストパフォーマンスで考えるなら上等でしょ。
淡白な白身なので、サンマやアジの「なめろう」と比べて、魚臭さもなし。というか、クセというものは皆無です。鮮度が高ければね。

写真でははしょったけど、半量はモッタリするまで細かくたたいて、もう半量は食感が残る程度にし、最後に互いを混ぜたので、口の中でトロケつつも噛んで美味しい出来になりました。
味噌の風味でそのまま食べるのももちろんいいのだけど、わさび多めの醤油を少し付けると最高。
軽く1kgはあったので、余した翌日は片栗粉を足してつみれ汁に。これまた旨かった。

ドンコは、寒さとともに肝臓が大きくなり、脂ものってくるので、これからがさらに旬。
あわび、鮭イクラ、真鱈白子、毛カニe.t.c.……。
冬の三陸もうんめぇぞ!