とねりの庭

下々ノ者ノ下ノ庭


26件のコメント

月と石。

食事中の方または尾籠なハナシに不快感をおぼえる方はお読みにならないで下さい。
そして長文でありながら非常にくだらない私事であることを予めお断りしておきます。

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先週土曜日のことです。
生まれてこのかた、便秘とはほぼ無縁な人生を送ってきた私ですが、この日の朝はいつもの半量ほどしか出ず、終わった後もなんだかお腹が張るような、ガスが溜まっているような、どんよりお腹でした。

便意はありまして、会社のお手洗いへ何度も籠もり、うんうん唸りつつも何もお出になられませんでしたので、実力行使じゃい! と痛いお腹をさすりながらドラッグストアで購入してきたイチジクさんを初投入してみましたが効果なし。一箱2ケ入りでしたので、めげずに残りを即再登板+10分我慢するも敵陣に変化無し。

そうこうするうち時はランチタイム。幸い食欲はありましたので、腹いっぱいおいしく食べます。下からがダメなら上から押してみよ作戦の決行でしたが、食後1時間経ってもドスンと居座る腹痛と便意は変わりませんでした。

午後3時。仕事は山ほどありますが、お手洗いへ通わなければならないし、仕事への集中が続きませんので、早退することを決めました。一度目とは違うドラッグストアから、本日二箱目のイチジクさんを仕入れたのち帰宅します。なぜ違うドラッグストアかというと、レジの女性に「マニアの人」と思われたくないからです。

ヘロヘロで帰宅してバタリと横になりますが、お腹が張って張って仕方がないので、本日の3本目と4本目のイチジクを2本続けてゴチになります。
ひたいに脂汗を浮かべながらヒーヒーフーのラマーズ法で4分待ちます。我慢には逆効果の呼吸法だったかもしれませんが、4分持てたのは上出来。しかし出ズ。

時刻は4時。発現から6時間経過しても収まる気配を見せない腹痛。頭のなかに「病院」という単語が何度となく浮かびますが、今日は平日ではなく土曜日。もっと重篤な他の急患が居るであろうに、便秘ごときで行くわけにはいかぬ。が、ムリ。もームリ。一刻も早く病院へ行き、野太い業務用浣腸を打って欲しいの! と私の内側からマニアの人っぽい懇願が聞こえます。
今思えば、なぜこんなに浣腸にこだわったのか便秘だと決めつけていたのか全く理解できませんが、その時は本心でしたので、おそらくはすでに冷静さを失っていたのだと思われます。

かくして県立病院の救急へ着きますと待合室には3組のみ。あまり迷惑を掛けずにすみそうで一安心しました。
当番の男性医師にこれまでの経緯を説明し、腹部触診ののちCT撮影を受けました。CT技師が胸元のゆるい仕事着を着た若い女性だったので、彼女が前かがみになるたびに、お腹の痛みを少し忘れそうになったのは秘密です。

現像が済んだCT画像を前に当番医から説明を受けます。
「この黒い部分がガスですね。でーこのあたりが便です。量は多くありませんが、おそらくこれが出れば楽になるのかもしれませんね。浣腸しましょう」
業務用キタ━(゚∀゚)━! これで楽になれる! との歓喜を抱えながらベッド付きの大きな個室トイレで禍々しいほど野太いヤツを頂きました。できるだけこらえてから出すが吉とのことでしたが、こいつがもたらす「出したい感」たるや、さすがプロ仕様と唸らされました。
これだけ辛い思いをしているのだ。きっとこの山を乗り越えたのちに我が眼下に広がる景色は、夏の日差し降り注ぐ霧ヶ峰のそれの如く、ひたすらにどこまでも爽やかなのであろう、と出す前から苦しみの先にあるはずの恍惚に身を捩るのだった(なんだこれ)。

まさにスローモーションのように動く分針を睨みながら耐えること3分。もう1分2分待ったほうがいいことはわかっていましたが、そんなもんムリ。もうだめもうこれ以上ムリですカンニンや……堪忍やー!
と果てるアタシ。

私の名を呼ぶドアの向こうの看護師にどうだ出たかと問われましたが、出ませんと落胆100%の声色で答えるのが精一杯。むしろ声が出ただけでも上出来な絶望感。
もう少しがんばってくださいねとかなんとか言い残して看護師は立ち去りましたが、言われずともがんばるしかないのでして、そこから40分ちょい奮闘しましたさ。

治まる気配のない痛みに疲れ果てたとき、ようやくのことです。ひょっとしてこりゃ、便秘じゃないんじゃないかしら、と疑問をいだいたのは。遅っ!
豪華個室浣腸部屋を出て、三度救急診察室へ入りますと、血液検査をしたいとのこと。持ち前の慢性肝炎がらみではないという確信はありましたが、ここまでしつこい腹痛は正直不安。ゼヒゼヒでお願いしました。というか、この痛みから早く開放されたいの一心でしたが。

処置室のベッドで採血を済ませましたが、結果が出るまでに1時間掛かるとのことでしたので、このまま横にならせてもらうことにしました。この頃は腰も痛く、腹痛と併せて、とても寝られる状態ではありませんでしたが、当番医に名前を呼ばれ目覚めました。結局寝てたんかい。
血液検査の結果が出たら私の主治医が診てくれると当番医から告げられました。今日イチの安堵です。持つべきものは信頼できる主治医(女医)ですね。
安心してもう20分まどろみました。

私の名を呼ぶ声にまぶたを開くと、My女医が立っていました。その立ち姿は、さながら後光を背負った女神様。ありがたやありがたや。アラフィフの女神様ありがたやありがたや。
「痛む場所が場所だったので膵臓が心配でしたが、血液検査の結果を見る限り大丈夫そうですね」
別室で説明を受けます。膵臓て……膵臓じゃなくてよかったーマジでマジで。
「で、CTを見るとー」
マウスホイールを上下に回すクリクリ音に合わせて、ボクの下半身画像が、内蔵ちんこ内蔵ちんこ内蔵ちんこってなってんなー、おもしれーなー、とかボケーっとしてたら、
「ここ!」と女医。
「白いのが、石です。ニコ」
顔は笑ってなかったので、ニコは2個のことだったか。
「これが腎臓から出ているの管に詰まってます。そうなるとおしっこが送れないので腎臓が腫れて痛くなります」
そう言ってさらに腎臓の輪切り画像を見ますと、なるほど右の腎臓に比べて左の腎臓は一回りBIG。
後ろを向かされて、腰を叩かれますと、右はなんともないのに、左を叩かれると痛え痛え。
「ということで、尿管結石でした!」
おめでとうございます! と続きそうな言い方がなんか和んだ。やっぱ好きだわこの先生。
どうやら幸いなことにふたつとも小さいし、膀胱にあるひとつは間もなく落ちて(排出されて)、痛みの原因になった尿管の結石も数日中には落ちるでしょうとのこと。

薬局の時計を見ると9時を回っていた。
一生分打ったかもしれないあの浣腸がムダだったことや、CT画像を見ても気づけなかった当番医のことを思ったら笑えてきた。
と同時に、
──石が出やすくなる薬と痛み止めの座薬、そして週明けの泌尿器科デビューのお知らせを授与されて病院の自動ドアを出ると、今が本当に4月なのかと疑いたくなるような冷たい夜風と、間もなく食の最大を迎える月が私を出迎えてくれた──
なぜかブログの結びだけが降臨したのでした。

追伸
4月8日、泌尿器科デビューするも、すでに石はふたつとも旅立ちの後とのこと。
全然気づかなかったなあ。尿道イテテテを期待していただけに、ちょっとさみしい気持ちになりましたとさ。

くだらない私長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。